環境設計は、オンサイト計画設計事務所の代表・長谷川浩己氏が、三菱地所設計と協同にて担当。
都心のビル一棟から成る「星のや東京」は、今までの「星のや」のような広がりを持った敷地の中でのランドスケープデザインとは異なり、都市広場の一角として完全にパブリックな場を形成。そのため、長谷川氏は「星のや」という空間への玄関口として相応しい佇まいをつくりながら、いかにその存在が東京の新しい都市風景に貢献できるかを、デザインの基点と考えました。どこであっても立地する場所の魅力に繋がっているのが「星のや」であり、東京では小さい敷地でも大都会に開かれた空間としての魅力となっています。
超高層ビルが建ち並ぶ一画に一気に違うスケール感の庭のような世界を持ち込みつつ、その世界自体が同時に公共の広場の一部として都市風景の拠り所となることを目指しています。4種類の帯が幾重にも敷き詰められたようなパターン、小さいけれど密度のある樹々、小舟のようなベンチや花入れのようなプランターなど、小さなものたちの集積が星のやの周りを空気のように覆っています。こだわったのが、その一つ一つへの工芸品のようなクオリティ。京都の植彌加藤造園による美しい舗装、エイペクスによる精緻なベンチの造作、これらすべての技が集結することで日本の宿としての質感を演出しているのです。