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バリ・ヒンドゥーの聖なる川が流れる谷の上。
熱帯の樹々に包まれるようにして、
古代から変わらない神が統べる自然の中に身を浸す。
豊かな森と、世界遺産の美しい棚田が広がる一角に、
神、自然、人の調和を大切にする集落がある。
インドラ神が大地に剣を差し、水が湧き出したという伝説があるティルタエンプル寺院。その聖なる湧き水は、プクリサン川に流れ込み、ウブドの森を潤している。星のやバリに滞在している間、谷を流れる川の音がいつも聞こえていた。川の水が気化して、靄から雲となり、再び雨となって森を濡らす。聖なる川の微かな気配。そこには、日常から遠く離れた摂理があった。
大きく息を吸い込む。豊かな森から今、生まれたばかりのような空気を全身に満たす。バリ島には、太古より島に根付いたアニミズムと、ヒンドゥー教が融合したバリ・ヒンドゥーが信じられている。神、自然、人の調和が大切にされた村の一部である星のやバリでも、さまざまな神に感謝を捧げるために、毎朝花が捧げられる。ガムランの音が響きわたる夕刻、神々の気配を身近に感じながら、自然からエネルギーをもらう。ゆっくりと身体の中が満たされていく。
同じ水路を使う、ということは同じ共同体に属していることと等しい。隣人たちと水を共有する“スバック”という治水文化は、9世紀から1000年以上もの間、助け合いの精神で美しい棚田を潤してきた、暮らしの根源でもある。星のやバリの中を通る水路もまた、周囲の棚田で使われているものが流れ込み、風景を形成している。水を共有することは思想を共にすることに他ならない。同じ水を使うことによって、本物の文化に身を浸すことができる。
冷たい水に足を浸す。それだけで体が喜んでいることを感じる。それぞれの部屋、集落を繋ぐ運河のようなプールで、神聖な感慨を受けるとは思わなかった。頭まで水に浸し、まるで沐浴のように目を閉じる。水によって、少しずつ浄化されるという感覚。思考はぼやけていく。向かいの部屋に滞在する紳士と挨拶を交わした。星のやバリのプールは、沐浴の場所であり、社交場のようでもある。
ジャングルの上に突き出し、まるで宙に浮いているような「カフェガゼボ」で、滞在中、多くの時間を過ごす。三方を森に囲まれ、手を伸ばせばヤシの実をもぐことさえできるような空間。高揚感が湧いてくるかと思ったら、むしろ驚くほどの安心感に包まれて、眠りに落ちる。体験したことのない種類の眠り。風に溶け込んでしまうような、取り巻く森の一部になったような。目を覚ましてもなお、体の中心で穏やかさが静かに響いている。一生忘れられない、午睡。
森に囲まれたウブドは海外から芸術家が集い、バリに根付いた文化が洗練されていった土地でもある。鳥や花や木々をモチーフにしたウッドカービングによるレリーフが部屋の壁一面に飾られていた。バリの自然が表現された作品には、それぞれ物語があるという。華やかな彫刻はプールに続くプールサイドリビングの石壁にも施されており、部屋からテラス、プールまでがゆるやかに連結する空間は、ウブドの美しい自然の風景へとつながっていく。穏やかに風が抜ける音がする。この風通しの良さこそがバリらしい心地良さといえる。