客室、施設内の照明設計は、ICE都市環境照明研究所の所長・武石正宣氏が担当。武石氏は、「豊かなリゾートにふさわしい明かり」その実現に向け、東氏や長谷川氏がどんな光をイメージしているか聴き取る一方、図面上でゲストと同じ目線に立ち、全エリアを歩いて検証を重ねました。そして、明るさ=居心地よさではないという結論に至ったのです。不必要な灯りを削ぎ落とした結果、生まれた闇と光が、「人 - 建築 - 自然」を融合させるのではないかと考えました。
実際に集落で一日を過ごしてみるとわかるのですが、谷の集落が最も情緒豊かに変化するのは夕暮れ時。リビングからテラスを通して外を眺めると、残照が漂う空の下、灯り始める集落ひとつひとつの明かりが風景を構成し、人の気配すら感じさせます。更に夜が深くなるにつれ、昼とは全く異なる光景が広がります。軽井沢という自然豊かな場所ならではの月や星の光と、私達が灯す明かりとの絶妙な調和が、集落の滞在に深みを与える美しい光景をつくり出しています。