環境設計を担当したのは、オンサイト計画設計事務所の代表、長谷川浩己氏。このプロジェクトを進めるにあたり、施設計画はもとより、星野エリアの立地条件、自然環境を最大限に調和させた環境設計が必須であるということは明白でした。長谷川氏は、まず谷の地形、敷地に引き込まれた水、ここで大きく育ってきた木々に着目、それらと建物群が美しく調和する有り様を探してきました。
モミジ、ハルニレ、ホオノキなど長い歴史の中で大きく育った樹々は、谷の集落をデザインする上で欠かせない要素でした。浅間山を源とする清流から引き込んだ豊かな水を中心に据え、そこからこぼれ落ちる棚田の風景、木漏れ日に満ちた散策路、それらをつなぐ小さな橋や路地を配することで、存分にその魅力を味わっていただこうと考えました。実際に施設内を歩けば、この敷地が持つ豊かさの奥深さを実感していただけるでしょう。
路地は、車一台がようやく通れるほどの狭さで巡っています。ゆるやかな丘を上り下りしたり、入り組んだ路地に迷い込んだりと、目に映る風景がくるくると変化します。どこにいても感じる水の気配に包まれて、豊かな自然を感じながらのんびりと散策をお楽しみください。この場所で何百年もの時を刻んできた、この土地そのものが穏やかに語りかけてくるはずです。