伝統と文化の島バリでも特に文化色の強いウブドに「星のやバリ」が建つ。東氏は「星のや」の建築設計で、常にその土地の魅力や文化を常に考えながら取り組んできました。そんな中、バリでは、京都と同様に現地の文化の力が強く、日本人の私たちが何を表現するか、最初の海外の「星のや」計画で何を発信していくか、難しい課題が山積していました。
まずバリのヒンズー寺院や伝統的な家、集落から勉強し、バリにとどまらず、インドネシアの幾つもの工房、例えば金物細工、石の彫刻、木の彫刻、バティック工場などを尋ねまわりました。多くの出会い、発見を通して、バリの文化をそのままコピーするのではなく、「星のや」流を表現するデザインを心がけました。
すべての客室は、運河のような大きなプールを囲いこむように配置され、客室のテラスには、この気候だからこそできる『ゴロゴロ』スペースとして、アランアランと呼ばれる茅葺きのガゼボや、プールリビングがあり、プールを優雅に取り巻くように設計。その客室やガゼボが軒を連ねる風景は集落のようでもあり、プールの中からもその眺めを楽しんでいただけます。
パブリックエリアは、深い渓谷の対岸の緑を借景にして、バリらしい景色や谷を渡る風を感じながらパブリック機能を利用できる造りとしました。
海外で初の「星のや」。日本の空間作りの良さとバリの文化の調和を経験していただきたいと考えています。