逗留滞在を基本とする「星のや」では、長くその場にいることで少しずつ身体が慣れ、次第に心地よさを感じる、落ち着いた明かりを目指しています。
「星のや沖縄」のある読谷(よみたん)村のエリアは眼前に海が広がり、空が青く抜け、刻一刻と変化しながら夕陽が沈むなど、沖縄本島らしいドラマチックな瞬間を体感できる場所です。照明の設計においては、こうした自然の色や光に寄り添うよう心がけています。
例えば真っ赤な暖かい光の夕陽が海に沈むと、その余韻と夜の暗さを楽しめるように、客室には薄っすらと柔らかい明かりを灯すことができます。夜になると、施設内の木々や畑は月が照らしてくれます。通路はグスクの花織模様をイメージしたスタンドライトから光が漏れるので、そこかしこに照明を設ける必要はありません。星もきれいに見えますから、あまり空に光が行かないようにすることも注意を払ったことの一つです。
自然からのインスピレーションはデザインにも生かされています。明るく開放的なイメージのある沖縄ですが、御嶽(うたき)などに見られる、岩の隙間を生かした光の様子も印象的です。客室のフロアスタンドはそれを意識し、フレームに明暗を付けた布を貼ることで、沖縄らしさを取り入れました。