「星のや沖縄」の敷地は海岸に沿って非常に細長い立地となっています。全体構成の大きな考え方は「もしも海岸沿いにグスク(琉球時代の城)があったならば」というイメージから始まりました。海沿いには客室棟の建物、陸地側にはコンクリート壁を用い、それらをグスクの城壁に見立てて、その内部に外部から守られた安全で快適な内部空間を抱え持っているというイメージです。
壁に開けられたいくつかの開口部(ポータル)が外と中の世界の出入口になっており、一旦内部に入ると風などから守られた環境に、林、果樹園、畑、庭園などが配され、それらを園路が結んで快適な歩行者空間とくつろいで滞在する場所を提供しています。客室を除き、プールなどの限られたパブリック施設のみがオープンスペースとともに海に向かって開けており、海への眺望を伴った庭園として設えられています。
もう一つの設計イメージは、「新しい海岸線を作る」ということです。全てが低層に抑えられた客室棟は、海岸線に沿って細長く配置されています。そこで、海岸線風景を大きく損なわずビーチや既存の緑と一体となった、周辺環境に溶け込んだデザインを目指しています。